通商国家カルタゴ (興亡の世界史)

通商国家カルタゴ (興亡の世界史)

相変わらずおもしろい。
ローマ帝国と覇権を競ったカルタゴ
ハンニバルとか、名前だけしか知らなかった人々が解りやすく
描写されていて勉強になる。
アリストテレスとかプラトンとか同じ時代なのね。
次はローマ帝国



このサイトは、ホントにスゴイわ。


米国に防衛を負担させておいて、経済発展と平和を謳歌する戦略だったのであれば、日本の高級官僚はやはり、したたかで優秀である。
TPPであれだけ米国からプレッシャーがかかっているのに、安易に妥協しないのも、官僚の既得権益が損なわれるからだろう。



集団的自衛権と米国の濡れ衣戦争


 戦後の日本は、米国に対して「弱いふり」を続け、それによって米国に守ってもらわねばならないという対米従属の状態を続けるのが国家戦略だった。米国は1970年代に在日米軍を撤退しようとしたが、日本が「自衛隊はまだ弱い」「憲法で戦争できないことになっている」と言って引き留め続けた。対米従属は、米国が日本の「お上」であり、日本の官僚機構がその下僕として(お上の意志の解釈権を保持して)国民とお上の間に挟まって行政権力を保持し、国会を無力化して官僚隠然独裁を続けるために必要だ。日本国憲法集団的自衛権がないとする政府の解釈は、対米従属の基盤となる「弱いふり」戦略の基本だった。

(日本の権力構造と在日米軍)

 日本は対米従属をやめることにしたのか。そんなことはない。むしろ逆だ。米国がイラク占領やテロ戦争で失敗し、米国自身の覇権意欲や財政力が減退している中で、日本政府は何とか米国に見捨てられないようにしようと必死になっている。沖縄の辺野古で米軍基地の建設を強行することにしたのが一つの例だ。日本は、対米従属を維持するために仕方なく集団的自衛権を持つことにしたと考えるのが自然だ。官僚機構と関係ない安倍首相の意志だという見方は正しくない。安倍の外交政策を決めている側近は外務省の関係者ばかりだ。官僚機構を潰そうとした民主党政権が逆に官僚機構に潰された後、官僚機構の言いなりになる前提で始まったのが安倍政権だ。おそらく安倍は、4月にオバマが訪日した際、集団的自衛権を持つことを強く要求されたのだろう。



習近平の覇権戦略




 米国経済は表向き、株価が史上最高値を更新し続け、国債相場も高く、好調に見える。しかし米経済の好調さの大部分は、当局が発表する指標の粉飾と、連銀が大量発行する資金が株価や国債相場を押し上げて金融バブルを膨張させる効果によるものだ。発表されている米国の失業率は6・1%だが、低賃金のパートの求人が多く、求人の少なさに失望して求職活動をやめてから1年未満の人を含めた失業率は、公式統計(U6)で12%台だ。求職活動をやめてから1年以上経つ人を含めた失業率の公式統計はないが、23・1%と概算されている。しかも米当局は、公式統計の季節調整値の算出方法を毎月変更して失業率を低く見せている。加えて、雇用統計を産出する基礎となる出生死亡モデルを操作し、雇用が全く増えなくても6万2千人の雇用増になるように調整している。これらの粉飾をのぞいた実体的な米国の失業率は30%前後だろう。 (Paul Craig Roberts: "The US Economy's Phantom Jobs Gains Are A Fraud")

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 中国は、IMF世銀やブレトンウッズ体制(ドル覇権)に取って代わるBRICS開発銀行の創設を進めているだけでなく、世界銀行のアジア地域版ともいうべきアジア開発銀行(ADB)に取って代われる「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)を設立する計画を進めている。資金量はADBの1650億ドルに対し、AIIBが1000億ドルとなる。 (China plans investment bank to break World Bank dominance)

 ADBは歴代日本人が総裁であると同時に日本の対米従属の姿勢が、米国15・7%、日本15・6%という出資比率(決定権比率)に現れている。中国には5・5%の出資比率しか与えられておらず、これに不満な中国が、自前の国際開発銀行を創設した。ベトナム戦争が本格化した後の1966年に日米主導で創設されたADBは、同年に米国傘下の東南アジアの反共同盟体として創設されたASEANと並ぶ機関で、もともと反共・反中国的な色彩がある。AIIBには日本や米国も参加を招待されているが、運営が稚拙だという批判が日米から出ており、日米の参加は未定だ。 (China expands plans for World Bank rival)

 日米主導で中国包囲網的なADBに対して、AIIBは逆に、中国が「西域」「シルクロード」として歴史的な影響圏とみなす、中央アジア西アジア諸国のインフラ整備に援助して傘下に入れるために創設する、中国の地域覇権拡大のための国際機関だ。中国は、中央アジアやイラン、パキスタンアフガニスタン方面への「陸のシルクロード」だけでなく、ミャンマーバングラディシュ、スリランカモルジブなどインド洋に面した諸国を経済支援して傘下に入れる「海のシルクロード」の構想も進めており、これもAIIBの投資対象になる。 (Beijing making a counterplay to Washington's Asia-Pacific pivot) (China makes waves with maritime 'Silk Road')

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 韓国は、中国との協調を強めつつも、対米従属の国策を変えたくない。米国は以前から、韓国における有事の軍事的な指揮権を在韓米軍から韓国軍に移譲しようとしているが、韓国は移譲の時期を何度も延期しており、軍事的な自立をいやがっている。しかし長期的に考えると、いずれ金融バブルが崩壊して米国の財政難が強まり、在韓米軍は撤退していく。韓国はそれまでの間、親中国と親米の間を右往左往するだろう。これは地政学上、自然な動きだ。

 日本では、この韓国の右往左往について、馬鹿にする論調で報じられる傾向が強い。もし日本が中国の覇権拡大に対抗したいなら、韓国と協調する姿勢を強め、韓国を日本の側につかせようと画策するのが得策だ。しかし日本は逆方向で、韓国を馬鹿にしたり嫌悪する姿勢を続け、国際戦略上の愚策をやっている。日本と韓国がうまく組めば、中国の覇権拡大を抑止できるのに、今の日本はそうした可能性を自ら潰している。


 全体として日本は、中国の台頭に対する対抗策をやっていない。尖閣問題も、島と海域を守る以外のものでない。そもそも日本が尖閣を国有化して対立を激化したのは、日本が中国と敵対を持続し、日米が組んで中国と対決する構図を永続化させて日本が対米従属を続けられるようにするためだった。


 以前は、日本が台湾(中華民国)と協調関係を強めて日台で中国に対抗する策が採り得たが、今では台湾が中国と政治的にどんどん親密になっている。先日は、初めて中国の閣僚が台湾を訪問した。台湾では、ある程度の反対運動があったものの、経済的に市場・投資先・製造現場として、中国とのつながりが台湾にとって不可欠になっているで、台中の親密化は止められない。尖閣問題でも、日台が敵対関係で台中が仲間だ。もはや台湾には、日本が政治的に割り込む隙間がない。 (Protesters Disrupt China Envoy's Taiwan Trip)