半導体大乱の中で台湾TSMCの工場が火災…「再稼働には時間かかりそう」

4/1(木) 17:16配信

世界最大の半導体委託生産(ファウンドリー)企業の台湾TSMCの工場で火災が発生した。

自由時報など台湾メディアが1日に伝えたところによると、前日午前9時50分ごろに台湾北部新竹科学団地にあるTSMC第12工場で火災が発生し停電状態となった。

これらメディアは工場の変電所で原因不明の火災が起こり下請け企業の従業員1人が煙に巻かれ窒息し病院に搬送されたと伝えた。

火災を受け消防車両数台が現場に緊急出動して消火作業を行った。火災が起きたのはTSMCの研究開発と試験量産工場という。

同社は「生産に支障はない」と伝えたが、業界専門家らは第12工場の完全稼動には多少時間がかかると予想した。

 


ルネサス那珂工場300mmライン火災の火元はめっき装置、原因は過電流と判明

2021/03/20 23:35 2021/03/21 15:29

ルネサス エレクトロニクスは3月20日、19日午前2時47分に発生した、同社の生産子会社であるルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング那珂工場の300mmウェハライン(N3棟1階)の火災について、警察および消防による現場検証の結果、出火元ならびに出火原因が判明したことを明らかにした。

現場検証の結果、出火元はN3棟の生産ライン工程の一部であるめっき装置であることが特定されたという。また、出火の原因は、過電流が発生したことによるものと判定されたともしている。ただし、同社によれば、めっき装置の筐体ならびにめっき槽は熱への強度が相対的に低く、過電流の発生により発火したものと考えらえるとしているが、過電流がなぜ発生したのか、またどうやって発火に至ったのか、といった経緯については3月20日21時時点では調査中だという。

 

この火災による焼損面積は約600m2で、N3棟1階のクリーンルーム面積(約1万2000m2)の約5%に相当。焼損した製造装置は11台で、これは全製造装置の約2%に相当するという。

この結果、N3棟の生産は停止を余儀なくされており、生産再開のめどは判明次第改めて公表すると同社では説明しているほか、仕掛品の被害および業績などへの影響についても2021年3月20日21時時点では不明であり、精査中だとしている。

なお、200mmライン(N2棟)とウェハテスト工程(WT棟)は稼働を継続しており、製品の出荷は可能な状態だという。

 

旭化成 半導体工場火災 再開には時間 他社に代替生産依頼

2021年2月9日 16時08分

大手化学メーカーの旭化成は、去年10月に発生した宮崎県にある半導体を製造するグループ会社の工場火災について、工場の再開には、時間がかかるとしたうえで、複数の半導体メーカーに代替生産を依頼していることを明らかにしました。

去年10月、宮崎県延岡市にある「旭化成エレクトロニクス」の工場で発生した火災で、国内の自動車部品メーカーや音響機器メーカー向けの半導体を生産できない状態が続いています。

 

これについて、親会社の旭化成は9日のオンラインでの決算会見で、出火原因の調査などが続いているため工場再開には時間がかかるとしたうえで、複数の半導体メーカーに代替生産を依頼していることを明らかにしました。

 

これについては、半導体大手のルネサスエレクトロニクスが同じ半導体を代わりに生産する方針を固めています。

 

また、旭化成は、今回の工場火災で116億円の特別損失を計上し、今年度のグループ全体の業績予想について、最終的な利益をこれまでの870億円から710億円へと下方修正し、前の年度より31%減少する見通しを示しました。

 

田豊副社長は、記者会見で「工場火災では、関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をかけたことを深くおわびしたい。半導体の供給責任を全うするため、各方面から支援をもらって全力で対応したい」と述べました。

 

 

 

 

 

自動車向け半導体不足…米サムスン電子工場シャットダウンなど相次ぐ供給網打撃

3/7(日) 9:09配信

 

火災・地震・寒波・停電・水不足…需要予測の誤りも一因 「構造的要因…解決は難しい」今年いっぱいショック深刻化

 

 米国テキサス州の寒波と停電、同時に重なった福島の地震、そこに襲った台湾の冬の水不足…。.

 

 それこそ全てが一度にからまり、全世界で自動車向け半導体不足現象が深刻になっている。今年を通して自動車向け半導体の供給不足のショックが深まるだろうという見方が主流だ。産業通商資源部は4日、「自動車向け半導体は収益性や半導体設備の能力などの構造的要因を考慮すると、根本的解決は難しい」と公式に発表した。

 

 海外メディアなどの報道によると、米テキサス州のオースティン製造業協会のエドワード・ラットソンCEOは「オースティンの半導体工場の稼働再開が遅れている。5カ月後も自動車会社への影響が続くだろう」と述べた。先月、米国に吹き荒れた記録的寒波で電力供給が途切れ、サムスン電子のオースティン工場はシャットダウン状態が2週間以上続いている。同工場は、スマートフォンなどに使われる半導体だけでなく、テスラの電気自動車などに自動車向け半導体も供給している。周辺にある自動車向け半導体メーカーのNXPやインフィニオンも同じく稼動を中止している。電力はほぼ復旧したものの、水道管の凍結などで発生した水の供給問題が再稼動を困難にしている。

 

 自動車向け半導体の供給不足の兆しは、すでに昨年12月から現れている。昨年10月、火災により宮崎県にある旭化成の自動車向け半導体工場が止まったのだ。旭化成茨城県にある別の半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスに生産を委託したが、先月、この地域に地震が発生し、それさえも生産が止まった。

 

 結局、この1、2カ月間の自動車向け半導体の供給は、世界1、3位のファウンドリメーカーである台湾のTSMCとUMCが担うことになった。両社は主力のスマートフォン向け半導体の生産比率を減らし、自動車向け半導体の供給に乗り出したが、最近はもう一つの自然災害で困難に陥っている。雨が降らないことによる水不足で、生産に支障が生じる危険性が高まっているからだ。最近、台湾政府が両社の工場のある台湾中北部地域の工業用水の使用を7~11%減らすことを要求したが、TSMCの工場は立地するサイエンスパークの水使用量の10.3%を使っている。

 

 供給不足は自然災害のためだけではないという分析もある。KTB投資証券のキム・ヤンジェ研究委員は、最近発表した報告書で「コロナ禍による自動車メーカーとモジュール供給メーカーの誤った需要予測も半導体供給不足の一因」だと指摘した。自動車メーカーごとに消費萎縮を懸念して部品の注文を減らし、半導体メーカーもこれに合わせて自動車向けよりもパソコン・モバイルなど情報技術(IT)製品の生産比重を高めたという。期待を上回る電気自動車の需要の急増も一因だ。自動車には200~300個の半導体が入るが、電気自動車には電力制御システムやセンサーなどが増え、内燃機関車に比べて半導体が約2倍必要だ。

 

 自動車向け半導体は収益性が非常に低い。チップ1個の価格はわずか2ドル前後で、自動車1台当たりの半導体総単価は400~600ドル(車の価格の2~3%)水準だ。半導体メーカー側からみれば、自動車向け半導体の生産・販売は収益性が低いため、パソコンやスマートフォンの顧客企業より後回しにならざるを得ない。市場の供給が日増しに厳しくなり、完成車メーカー各社は1年分の自動車向け半導体の在庫物量の蓄積に、我先にと乗り出している。韓国投資証券は「他のライバル企業が12月から自動車向け半導体不足で断続的に減産に踏み切っているが、現代・起亜自動車は先制的な在庫蓄積のおかげで稼働中断時期を遅らせている」とし、「4月からは一部車種の減産が予想される」と語った。サムスン証券は「自動運転チップが装着され始めれば、電気自動車1台当たりの半導体価格は2000~3000ドルまで上昇する」と予想している。