コラム:基軸通貨に高い壁、デジタル人民元の現実=門間一夫氏 - ロイター

 

国民が広く使う通貨には、預金と現金がある。このうち預金は、民間銀行により供給される。預金を用いた決済は、手数料を課すことができるし、貸出や資産運用などとのシナジーが働くため、信頼性・安全性を確保するコストをかけてもビジネスとして成立する。

 

一方、現金の信頼性・安全性の確保を商業ベースに乗せるのは難しく、中央銀行がその供給を担う。

こうした分業が合理的だった世界に、技術革新が一石を投じている。デジタル通貨は、データビジネスとのシナジーが強いことなどから、預金・現金よりも低コストで利便性の高い通貨になりうる。

だたし、それが広く使われるためには、預金・現金と同等の信頼性・安全性を確保するためのコストをかけなければならない。誰もが使える包摂的な通貨の供給は、やはり中央銀行が担うべきという視点もある。これらのバランスは微妙だ。

預金、現金、民間デジタル通貨、中銀デジタル通貨の4種類の通貨をどのように組み合わせれば、決済システム全体にとってベストなのか、これが各国の直面している課題の構図である。