「冗談だよ」と永沢さんは言った。

「ま、幸せになれよ。いろいろとありそうだけれど、

お前も相当に頑固だからなんとかうまくやれると思うよ。

ひとつ忠告していいかな、俺から。」

「いいですよ。」

「自分に同情するな」と彼は言った。

「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」

「覚えておきましょう」と僕は言った。

そして我々は握手をして分かれた。

彼は新しい世界へ、僕は自分のぬかるみへと戻っていった。


ノルウェイの森 下」より。


あと何回これを読むのだろうか…